金価格はいつ上がるか?

 3月6日のユーロドルは、1.0843ユーロ/ドルとなり、2003年4月15日の1.0794ユーロ/ドル以来約12年ぶりの安値となった。これは、米国の好調な雇用統計と、欧州の金融緩和開始の影響である。米国の2月の雇用統計は、企業調査に基づく非農業部門就業者数(季節調整済み)が前月比+29万5000人増加し、家計調査から算出した失業率は5.5%に低下した。12カ月連続で毎月20万人以上の雇用が生み出されたのは、1995年以降で最長。1990年代終わり以来のペースで雇用は増えており、賃金以外は全て強かった。
 一方、ECB(欧州中央銀行)は本日3月9日から月額600億ユーロの債券買取を開始し、2016年9月までは続ける見込みでその後も「インフレ動向が持続的に調整され、中期的に2%弱の達成を目指すわれわれの目標に沿う軌道に乗るまで」続けるとECBドラギ総裁は明言した。ユーロ圏域内の総生産(GDP)成長率予想は2015年+1.5%、16年は+1.9%、17年は2.1%と上方修正している。成長の加速はインフレ率も押し上げるはずだ。物価は1月と2月に下落したことから今年は年間でも横ばいにとどまるとみられているが、16年には+1.5%、17年には+1.8%上昇すると予想されている。
 こうしたユーロ安/ドル高が金価格を大幅に引き下げ3月6日のNY金4月限は、▲31.9ドル安の1164.3ドルとなっている。
 
 最近の金価格は、プラチナ価格や銀価格を引き摺って動いている。2015年の金銀プラチナ価格の相関係数はNY金と銀が0.95805、NY金とプラチナが0.8994、NYプラチナとNY銀が0.8686と非常に高い正の相関関係となっている。つまり三つの貴金属価格は同じように動いている。2013年や2011年以前はそれぞれの基金増はバラバラに動いていたが、2012年と2014年以降は同じように動いている。これは貴金属先物に投資している投資家が貴金属を一つに見ているためと思われ、また銀やプラチナに対する独自の情報が少ないことが理由として考えられる。
 
 その金価格に対する情報もかなり少ない。もともと金価格は金融商品として為替や世界経済の動きを敏感に反映して動いていた。しかし金融危機が去り、世界経済が徐々に回復過程に入り、大きなインパクトのある地政学的リスクが少なく、原油価格下落によりインフレの恐れも小さくなっている現在はなかなか金価格の上げ要因を見出すことは難しい。
 
 年初から1月22日まで金価格が1割以上、上昇したのは、ファンドの買いが増えたという一言で片づけることができる。ファンドのネット買い残は12月2日の10万4千枚から1月27日には21万1千枚まで2倍に増加していた。これは、当時の株価がかなり高くなり割高感が出たのに対し、金価格は低迷していたため割安感があったものと思われる。しかし、今年に入って株価は更に一層高くなっており、まだ天井が見えない。
 
 逆に言えば、株価に天井感が出れば金価格が再び割安に見えるようになるかもしれない。しかしそれは今ではない。敢えて言えば、6月以降に米国の金利利上げが本当に実施される頃、株価は下落し、金価格は上昇するだろう。
 

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