ユーロ安が金高を呼ぶ

 先週15日に起こったスイス中銀の騒動と、25日に行なわれるギリシャの総選挙の行方がNY金価格を押し上げている。

 NY金価格は1月2日の初値1184ドルから、先週末には1276.9ドルまで+92.9ドル、+7.8%上昇している。この間にユーロドルは、1ユーロ=1.21ドルから1.1559ドルに▲0.0541ドル、▲4.4%下落し、昨年5月から比べると▲0.23ドル、▲17%も下落している。
 
 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が今月行ったエコノミスト調査では、米経済について極めて明るい見通しが示された一方、欧州には暗雲が垂れ込めているとみられていることが明らかになっている。
 
 そこに先週15日スイスショックが現れた。スイス中央銀行が、2011年ユーロ急落への対応策として1.20フランを上限に設定し、その水準を守るために無制限に介入すると発表して世間を驚かせたが、今度はその上限を撤廃すると発表して世界中をパニックに引きずり込んだ。日本時間15日18時30分ごろ、スイス中銀の施策内容が伝わるとスイスフラン市場はパニックに陥った。フランを恒常的に売る「ビッグプレーヤー」が消えるのだから、他の売り手も歩調をあわせて手を引く。フランは対ユーロで買い一色となり、しばらくは値段のつかない状態になった。幸い日本の為替投資家は、スイスフランを買い持ちしている人が多く、スイス中銀の上限を当てにして売っていた投資家は少なかったようだが、それでも世界のFX会社大手では、米FXCMが経営危機に陥り、米複合企業ルーカディア・ナショナルの支援を仰いだ。英アルパリは16日、あっさりと破綻に追い込まれ、日本法人のアルパリジャパンは新規取引を停止し、関東財務局から業務改善命令を受けた。英IGグループは最大で3000万ポンド(約53億円)の損失計上の可能性があると明らかにしている。日本のFX会社でもマネックスグループが19日、顧客に対する未収金が1億6000万円程度生じたと発表。

 また、ヘッジファンドでは、新興市場への積極的な投資で知られるエベレスト・キャピタル(本社:米フロリダ州マイアミ)がファンドを閉鎖、その他多くのファンドがスイスフランの犠牲になっている。ドイツ銀行とシティグループは約1.5億ドルの損失と報道されている。

 国家ではハンガリーとポーランド、ギリシャにおいてスイスフラン建ての住宅ローンの返済が滞る恐れが出ている。シティーグループの推計では、ハンガリ-はスイスフラン建ての債務残高は1兆円前後で、国内総生産(GDP)の5%に相当し、ポーランドではGDPの7.7%に相当するという。ギリシャの大手行のユーロバンク・エルガシアスとアルファ銀行は、正式にギリシャ銀行(中央銀行)へ緊急融資を申請した。

 こうした混乱の中で25日ギリシャの選挙が行われる。その前に欧州中央銀行は22日定例理事会を開催し、量的金融緩和の拡大(国債の購入)を行うかどうかを決定する。QEとなれば、一層ユーロ安に拍車をかける、QEをしても欧州経済回復しないかもしれない。しかし、金利は下げるところまで下げてしまったので、もうQE以外に経済を浮揚する手段はない。さてどうするか?
 
 欧州の経済停滞は、さらに一層下落しそうなユーロ建て資産から他通貨建て資産への動きを加速させ、そこにはドルや円と並んで金も買われることになるだろう。

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