シェール潰し

 原油価格が急落している。イラクでイスラーム過激派のISIS(イスラム国)が支配領域を拡大した6月に今年の最高値を付けた後は下落に転じ、5ドル刻みの下値支持を割り込み、昨晩はここ数年続いていた75-115ドルのレンジ下限を割り込んで下げ加速となった。

 6月以降の下落は、中国・ヨーロッパなどでの経済減速に伴い原油需要が減少している一方、原油供給量が増えており、世界的に需給状況が緩んだことが背景だ。需要面では、ヨーロッパで景気低迷とデフレの影響で原油需要が減少し、中国のGDP成長率の見通しも下方修正が繰り返されている。国際エネルギー機関(IEA)も、今年の石油需要の見通しを連続で引き下げている。
 需要減に加えて、供給過剰がマーケットの上値抑制要因となっている。アメリカのシェールオイルの生産増加と、リビアでの原油生産の回復で、原油供給が増え需給バランスが崩れている。
 アメリカ国内の原油生産量は、2013年7月には747万b/d(バレル/日)であったが今年7月には854万b/dになり、1年間で107万b/dも増加した。3年間では約300万b/dもの増加だ。また、リビアでは6月に政府と東部地方の反政府勢力間で生産・輸出に関する妥協が成立し、紛争は継続しているものの生産量は急速に回復している。

 さらに、これまで価格下落局面では、スイング・プロデューサー(増産・減産により価格安定を演出する主体となること)の役割を果たしてきたサウジアラビアが、その役割を放棄し、市場シェアを守る道を選んだ事が下げの大きな要因と指摘されている。サウジ国営石油会社が12月の米国向け原油販売価格を引き下げたため、「米国産原油に価格戦争を仕掛ける前兆」(米ニューヨーク・タイムズ紙)と報じられた。原油需要が低迷しているにもかかわらず、OPEC加盟国の9月の生産量は6月比で2.5%も増加している。市場では「シェール潰しの動き」と指摘する声が増えている。

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