天然ゴム生産国の介入が招いた「不幸」という視点

東京ゴム先物相場は、10月3日の1kg=173.80円をボトムに、足元では190円台を回復する展開になっている。1)主要生産国が安値での売却禁止で合意したこと、2)タイ当局が政府在庫の積み増し方針を示したこと、3)円高・石油安圧力が一服したことなどが、短期投機筋にショートカバー(買い戻し)を促している。

天然ゴム価格は、各国の生産者の主張する生産コストラインを大幅に割り込んでおり、それが国内農業保護の大義名分で政府を市況対策に動かした形だ。ただ、そもそも論で言えば、需要拡大ペースの減速に合わせてダウンサイジングすべき供給環境を、政府が延命させてきたことが、現在のような天然ゴム相場の低迷をもたらした側面も否定できない。

特に最大の生産国タイは、反政府活動を恐れたインラック前首相や軍事政権が農村部に補助金や金融支援を相次いで行い、採算分岐点を政策的に引き下げてしまっていた。このため、本来であれば生産調整が本格化すべきだったところを強引に阻止し、それが世界の天然ゴム農家を苦しめる皮肉な結果になっている。

さて、足元では最低価格設定の方向で、ゴム市況は当面の底入れを打診する展開になっている。目先、大きな値崩れはないだろう。ただ、これは、世界経済の成長長鈍化に対応した供給調整の動きを更に先送りさせることで、マクロな需給緩和状態を温存させることにもなる。協調介入という劇薬の効果が切れる前に、世界天然ゴム需要が供給規模とのバランスを取れる状態まで拡大するのか、これからは時間との戦いになる。

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